私たちの教会が創立されてから19年が経とうとしています。来年は20年目。新しいステップに踏み出そうとしています。創立して間もなく、現在も使わせて頂いているZion Evangelical Lutheran Churchで礼拝を守り、活動を続けてきました。そして、ずっと「私たちの会堂を与えて下さい」と祈り続けてきました。
マタイによる福音書の14章にはイエスの弟子のひとり、ペテロが水の歩く記事が記されています。ある日の夜、イエスは弟子たちを先に湖の向こう岸に送り、ひとりあとに残られました。しかし、弟子たちの舟は逆風に悩まされていたのです。それをご覧になったイエスは水の上を歩いて弟子たちのところに行かれるのです。もちろん、弟子たちは「幽霊だ!」とパニックを起こすのですが、イエスの「しっかりするのだ、わたしである。恐れることはない」という声に、ホッとします。そして、一番弟子格のペテロが言うのです。
「主よ、あなたでしたか。では、わたしに命じて、水の上を渡ってみもとに行かせてください」
(マタイによる福音書14:28)
イエスは「おいでなさい」と言われました。イエスが言われたのだから大丈夫なんです。ペテロは喜んで踏み出しました。でも、そこは海の上でした。波が高いのです。風が吹き荒れているのです。そこで、ペテロは「怖い!」と思います。そうしたら、何とペテロはぶくぶくと沈み始めました。その時、イエスがグッと手を伸ばして彼の手を捕まれるのです。「なぜ疑ったのか、どうして信仰がないのか」と。
ペテロはかっこ悪いと思いませんか?そんなことしなきゃいいのにと。他の弟子たちはみんな船の中にいたんです。ヨハネもヤコブもアンデレも、トマスもマタイも・・・。みんな船の中で見ていたんです。でも、誰もイエスに叱られないんです。そんな中で海の上に歩き出したペテロだけがおぼれそうになってイエスに助けて頂いて、それで叱られるんです。やらなくてもいいことをして失敗するのです。とても格好悪いです。
でも、この中で一番神様の力を経験したのは誰でしょうか?一番イエスの愛と力を味わったのは誰でしょうか?神に信頼することの意味を知ったのは誰でしょうか?信仰ってどんなものかを頭だけじゃなくて、自分の経験として味わったのは誰ですか?海の上を歩くってどんなことなのかを、足の裏で感じたのは誰ですか?風を恐れた時に、状況を恐れた時にどうなるかを身をもって味わったのは誰でしょうか?そして、いざというときに、この方は私を引き上げてくださるんだ、とイエスのその腕の強さを感じたのは誰ですか?ペテロです。
ペテロは踏み出しました。それはある意味オプションでした。"comfort zone"と呼ぶべきところに居座っていてもよかったのです。でも、踏み出した者だけが経験することのできる世界がある。それが信仰の世界です。英語では、"Take a risk for Christ" という言葉をよく聞きます。そこにはリスクがある。でも、それを通して、ああ、神は今も生きていて、確かに私を支え守ってくださるんだ、この方をしっかり見つめて歩んでいく時に、確かに水の上を歩いていけるんだ、奇跡を見せてくださるんだと分かるのです。それを経験したいと思います。
2000年前のクリスマス。イエスご自身が、私たちのために、自分の居心地のいいところを捨てて、この世にお生まれになりました。
そのイエスが語っておられます。おいでなさいと。勇気を持って、この方への信頼をもって進み出そうと思います。
どうか、祈りをもって私たちを支えて下さい。
(錦織 学)
月報2006年12月号より
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