今年も早いものでもう10月。あと4分の1を残すところとなりました。春から準備してきた三浦光世さんをお迎えしての講演会「妻三浦綾子と歩んだ40年」まであと2週間です。いっぺんにいくつもの事を考えられない単細胞の私にとって、この1ヶ月間は、この講演会の事で頭がいっぱいでした。
作家の三浦綾子さんといえば、私自身は生まれてから二回目に親に連れて行ってもらった映画が「塩狩峠」の試写会。当時の国鉄が貸し切りしただか何だかで門前払いになりそうなところ、「そんな堅いこと言わないで入れて差し上げなさい」というお偉いさんの鶴の一声で入れてもらったのが三浦さんの作品について知った最初でした。小学生だった私にとっても、とても印象深い映画でした。大学時代にはブラスバンドの仲間が結構三浦さんの作品を読んでいて、特に、一緒にトロンボーンを吹いていた友人が、「おれさあ、このあいだ『塩狩峠』読んでいて、もう少しでクリスチャンになるところだったよ」と言っていたのを思い出します。昭和38年生まれの私が、その著者が昭和39年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に「氷点」で一等入選して「キサクな雑貨屋の主婦」と報道され、ブームにもなったような人なんだなどということを知ったのはずっと後になってからでした。
私よりも若い世代の方々にとっては、もっと遠い存在かも知れません。でも、その作品を貫くテーマは時代を超えて普遍的なものなのです。人間の中に巣食うとんでもない醜さ、罪深さを認めながら、だから、しょうがないんだと、開き直るのではなく、そのような私達に対する神の赦し、神の愛を真実に描いています。何よりもとても読みやすい文体が私は大好きです。
この機会に、もう一度綾子さんのいくつかの作品、光世さん自身の著書、ビデオなどを拝見している中で、「ああ、綾子さんは光世さんと一緒に歩む中に作品を紡いでいかれたんだなあ」と思わされました。綾子さんが天に召されていってからちょうど4年を迎えるこの10月、そのお二人の歩みを光世さんご本人からお伺いできることはとても楽しみです。
先月号でお知らせできなかったNJ地区の講演会、10月18日(土)午前10時より、会場はTenafly PresbyterianChurch (55 Magnolia Ave. Tenafl y, NJ) です。是非おいでください。
(かきごおり:錦織 学)
月報2003年10月号より
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