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「父の日礼拝説教によせて」
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父の日礼拝で錦織先生は、父親に対する子供の理解は時間がかかり、しばしば後年になってから本当に父親の心を内側から理解できる類のものであると 二,三の例を取って語られました。説教を聞いている時私は霊感のように、一つの思いに導かれました。 |
信仰生活を続けるうちに、それまで大切だったことが意味を失い価値のないものになって消えて行くということは、御言葉にしたがって生きようとする誰でも多かれ少なかれ経験することだと思います。ところが逆に信仰生活を続け人生の海を乗り超えるに連れて、それが明らかになり敬意を払わざるを得ないもの、それは神様の肯定されることに違いないということでした。 |
私は父の存命中にその精神を理解することなく天に送ってしまいましたが、私の中で碇(いかり)のような役割をして、人生の海の中で安易な方向に流されないように私を規制してきた価値観とでも言うべきものの意味を今思うのです。日ごろ口数の少ない父が正面から私の顔をみて静かにさとす言葉には魂に染み透る力がありました。私は中学時代、何故か学校の成績がいつも一番でないと気が済まない子供でした。 ある時炬燵で試験の準備をしている私の正面に座って優しく私の名を呼び、「勉強というものはね、人に勝つ為にするものではないんだよ。 自分の喜びの為にするものだよ」と言うのでした。 また別のおりには「世の中で仕事をする時、人を支配する為に頑張るのは間違っている。世の中のお役に立つように仕事をするのです」と言うのでした。 職業に貴賎はないことを「誰かがしなければならない大切な仕事です。」と言って仕事をとおして社会に仕えることの意義を教えてくれました。 父を通して与えられたもの、それが私の精神の最も深い所に根を下ろして私の無意識のうちに人生の舵を取っていたとこのごろ日々の戦いの中でしきりに思って居りました。 |
私は大学の薬学部を出て製薬会社に就職しましたが、そこで体験した薬禍事件がきっかけで、当時の製薬企業のなかで「誰かがしなければならない大切な仕事」が完全におろそかにされている事実に直面しました。それは、薬の良い面のみが研究されていて、薬の問題を起こす可能性の部分には触れられていないという事実でした。私はその「誰かがしなければならない大切な仕事」に向かって歩み出さなければと思うようになりました。人から理解されがたい現実離れのしたそんな私の旅の始まりは、私の聖書をとおしての求道のはじまりでもありました。 |
1968年私は会社を辞めて研究生活の道を模索しつつ信仰の学びを開始しました。大学に戻り道を模索する苦しい研究生活の中から、1982年四月、神様は私をアメリカに導き出されました。この時、離日に際して与えられた御言葉は次のものでした。
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「あなたがたが私を選んだのではない。私があなたがたを選んだ。」
ヨハネ 一五章一六節
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メリーランド州のNIH(National Institutes of Health)で六年余それまで原因の解らなかった吸入麻酔後劇症肝炎の解明に没頭しました。その後すぐ帰国するはずの所、現在の製薬会社の求人に応えて1988年にニュージャージーに移りました。企業の目的は利益を追求することに在るわけですから、新薬を市場に送り出すことが努力目標であることは当然です。私のような考えの持ち主は非現実的な存在でありながら三、四年ごとにやってくる人員整理や機構改革の波にも生き延びてきました。しかし私の経験が十分に生かされていない、不本意な生活にけじめを付けて私は専門の薬学の世界から足を洗おうかと思った時期がありました。けれども、それは御心ではなかったようです。この三年程私は職場で全力投球を余儀なくされるようになりました。企業競争が厳しさを増し、薬を市場に送ってから問題が露出したなら、莫大な研究開発費を費やした薬を市場から撤収するような時代になりました。薬の予期しない効果によって患者が死ぬことは、かつては患者の特異体質の問題とされたのでしたが今やそのような問題も研究開発中に出来る限り調べようという時代になりました。私のような者が本当に用いられる時が来ました。しかし薬を市場に送り出すことに成功した人は良いボーナスも出、昇進もしますがそれを阻止する働きをする人には特別の御褒美は出ないばかりか研究開発チームの恨みを買い、判断を間違えば批判のまとになります。今の私の上司は私の信仰、仕事の上の判断をよく尊重してくれますし、私のグループには優秀な人材が与えられております。 しかし信仰なくしては、切実な祈りなくしては乗り切れない責任を感じる毎日です。 |
気楽に人生を送れない融通の利かない自分に何度も幻滅を感じたものでした。 けれどもそれが肉の父を通して示された神様の御心だったと考える時、私の今までの旅路の全行程が、神様の肯定の御手の中に守られてあったことを思わずにはおれません。 この頃私は、こうして毎日私の退職の日まで全力で走り続けるだろうと思い定めております。 それが私をこのように生かし最善に用いて下さる神様への心からの感謝の応答だと思うからです。 |
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「 わたしこそあなたの神、主。エジプトの地からあなたを導き上った。」
出エジプト記20章2節
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